横領事件に強い弁護士の選び方は?すぐに相談すべき理由は?

横領をしてしまい、発覚の危機に直面している方は、不安な日々を過ごしていることでしょう。しかし、一人で抱え込まずに、早期に弁護士に相談することで、最善の対応策を見出せる可能性があります。本記事では、横領事件に強い弁護士の選び方や、すぐに相談すべき理由について詳しく解説します。

目次

1. 横領罪の種類とその刑罰

まず、横領罪にはいくつかの種類があり、それぞれ刑罰が異なります。

1-1. 単純横領罪

単純横領罪は、自己の占有する他人の物を横領した場合に成立します。刑法第252条第1項に規定されており、5年以下の懲役に処せられます。

例えば、友人から預かった物を無断で売却してしまうような行為が該当します。

1-2. 業務上横領罪

業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を横領した場合に成立します。刑法第253条に規定されており、10年以下の懲役に処せられます。

例えば、会社の経理担当者が会社の資金を私的に流用するような行為が該当します。

1-3. 遺失物等横領罪

遺失物等横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合に成立します。刑法第254条に規定されており、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処せられます。

例えば、落とし物を拾って自分のものにしてしまうような行為が該当します。

2. 横領でも示談が成立すれば逮捕されない

横領罪は親告罪ではないため、被害者が告訴しなくても警察が捜査を開始し、検察が起訴することができます。しかし、実務上は被害者との示談が成立すれば、逮捕や起訴を回避できる可能性が高くなります。

2-1. 示談が成立した場合

示談が成立すると、以下のようなメリットがあります。

  1. 被害者が被害届を取り下げる可能性が高くなる
  2. 警察や検察が事件化を見送る可能性が高くなる
  3. 起訴されても、量刑の軽減要素として考慮される

示談交渉を成功させるためには、弁護士のサポートが非常に有効です。経験豊富な弁護士は法的知識を活かして無理のない示談内容を提案し、交渉を円滑に進めることができます。

2-2. 示談が成立しない場合

一方、示談が成立しない場合は、以下のようなリスクがあります。

  1. 被害者が積極的に告訴する可能性が高くなる
  2. 警察や検察が厳しい姿勢で捜査・起訴を行う可能性が高くなる
  3. 裁判で厳しい判決が下される可能性が高くなる

示談が成立しない場合でも、弁護士に依頼することで、とるべき防御策を講じることができます。例えば、証拠の収集や反証、情状酌量の余地を主張するなどの手段が考えられます。

 

3. 横領が発覚した際すぐに弁護士に相談するべき5つの理由

横領が発覚した際、すぐに弁護士に相談すべき理由は主に以下の5つです。

3-1. 初期対応が重要

横領が発覚した直後の対応が、その後の展開を大きく左右します。示談交渉の中で、支払えない金額の支払いを約束してしまえば、かえって相手方の信頼を損ねて示談が決裂するリスクが高まります。早い段階から弁護士に相談することで、その後の見通しも把握した上での初期対応を取ることができ、事態の悪化を防ぐことができます。

3-2. 証拠の保全と収集

弁護士は、横領の証拠を適切に保全し、必要な証拠を収集する方法を助言できます。これにより、自身に有利な証拠を確保し、不利な証拠の影響を最小限に抑えることができます。

3-3. 示談交渉のサポート

前述のように、示談は横領事件の解決に大きな影響を与えます。弁護士は示談交渉をスムーズに進め、有利な条件での示談成立を目指します。

3-4. 捜査対応の助言

警察の取り調べや検察の聴取に対して、どのように対応すべきかを弁護士が助言します。これにより、不用意な発言を避け、自身の権利を守ることができます。

3-5. 精神面での安心に繋がる

横領が発覚した際の精神的ストレスは計り知れません。今後の仕事や人生への不安は募るばかりです。弁護士は法的アドバイスをするのが仕事ですが、専門家に常に相談できる環境を整えることで、結果的に精神的な支えになることもあります。一人で抱え込まないで、まずは弁護士にご相談ください。

 

4. 横領に強い弁護士の選び方

横領事件に強い弁護士を選ぶ際は、以下の点に注目しましょう。

 

4-1. 刑事事件の知識や経験が豊富

横領は刑事事件に該当するため、刑事事件全般の経験が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。特に、横領事件の取り扱い実績が多い弁護士であれば、十分な知見に基づく対応が期待できます。最新の知識を基に、的確な支援を受けることも期待できます。

4-2. 示談交渉のスキルが高い

前述のように、示談は横領事件の解決に大きな影響を与えます。そのため、示談交渉のスキルが高い弁護士を選ぶことが重要です。過去の示談成立実績なども参考になるでしょう。

4-3. コミュニケーション能力が高い

弁護士とのコミュニケーションが円滑に行えることは非常に重要です。初回相談時の印象や説明の分かりやすさなども、選択の基準にしましょう。

4-4. 24時間対応可能

横領事件は突然の展開がありうるため、24時間対応可能な弁護士事務所を選ぶことをおすすめします。緊急時にすぐに相談できる環境があると安心です。

4-5. 料金体系が明確

弁護士費用は事件解決に大きな影響を与えます。料金体系が明確で、自身の経済状況に合った弁護士を選びましょう。ただ、その後の人生を大きく左右しかねない状況であることを念頭に判断することが重要です。

 

5. 横領事件を刑事事件専門の弁護士に依頼するメリット

横領事件を刑事事件専門の弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。

 

5-1. 専門的な知識と経験

刑事事件専門の弁護士は、横領事件に関する法律知識や判例に精通しています。また、経験豊富な弁護士は、実績と知見に基づいた判断ができるため、より最適な防御戦略を立てることができます。

5-2. 捜査機関との交渉力

警察や検察との交渉経験が豊富な弁護士は、効果的に交渉を行い、有利な条件を引き出す可能性が高くなります。

5-3. 証拠の取り扱いに長けている

刑事事件専門の弁護士は、証拠の収集や分析、反証の方法に長けています。これにより、自身に有利な証拠を最大限に活用し、不利な証拠の影響を最小限に抑えることができます。

5-4. 量刑の予測と対策

過去の判例や経験から、想定される量刑を予測し、それを軽減するための対策を講じることができます。また、経験豊富な弁護士は、解決した横領事件を通した知見に基づき、より具体的な対策を立てることができます。

5-5. 裁判対応の経験が豊富

万が一裁判になった場合でも、刑事裁判の経験が豊富な弁護士であれば、実績に基づいて無理なく弁護活動を行うことができます。

 

6. 弁護を依頼した時の流れ

横領事件で弁護士に依頼した場合、一般的に以下のような流れで進みます。

 

6-1. 初回相談

事件の概要や状況を弁護士に説明し、何が問題かを把握した上で、今後の方針について相談します。

6-2. 証拠の収集と分析

弁護士の指示のもと、関連する証拠を収集し、分析します。状況を正確に把握して具体的にその後の弁護活動について協議します。

6-3. 示談交渉

被害者との示談交渉を行います。弁護士が間に入ることで、円滑な交渉が期待できます。経験豊富な弁護士は、被害額や当事者の数など、事案を踏まえた上で無理のない金額を提示できるためより効果的に交渉を進められます。

6-4. 捜査対応

警察の取り調べや検察の聴取に対して、弁護士のアドバイスに基づいて対応します。不利に働きかねない言動を回避することで、自身の権利を守ることができます。

6-5. 起訴前の対応

不起訴処分を目指して、弁護士が検察と交渉します。経験豊富な弁護士は、最終的に何を目指すべきかのビジョンが明確なので、起訴がなされるまでの限りある時間で知見に基づいた弁護活動を行います。

6-6. 裁判対応(起訴された場合)

起訴された場合は、弁護士が法廷で弁護活動を行います。あくまで目安ですが、横領事件では、一定の被害額を基準に実刑判決がなされる可能性が上がります。実績のある弁護士は、裁判で争うべきポイントを判断できます。また、無罪を主張すべき横領事件もあるでしょう。検察官の主張には理由がないことを示すために、必要な証拠を独自で集めたり、検察官が呼んだ証人に対して的確な反対尋問をすることも大切です。

6-7. 判決後の対応

判決に不服がある場合は、上訴するかどうかを弁護士と相談します。第1審で実刑判決を受けた場合、控訴審で逆転判決を勝ち取ることは容易ではありませんが、刑の軽減や執行猶予の獲得、さらには無罪判決を得られる可能性もあります。経験豊富な刑事弁護士は、第1審の裁判官の判断を冷静に分析し、控訴の可能性を適切に評価できます。 ただし、控訴期間は14日間と限られているため注意が必要です。

 

7. 横領事件の解決事例

一般的に横領事件の解決には、示談成立により不起訴処分、執行猶予付き判決、罰金刑に留める、刑事事件化の回避に努める等の方法があります。

横領事件の具体的な解決事例をいくつか紹介します。

7-1. 事例1:示談成立により不起訴処分

会社の経理担当者が500万円を横領した事件で、弁護士の助言により速やかに全額を返済し、示談が成立。その結果、不起訴処分となりました。

7-2. 事例2:執行猶予付き判決

約5000万円の会社資金を着服してギャンブル等に使ってしまったという業務上横領事件で、起訴後から受任をして、執行猶予付き判決を獲得することができました。検察官は実刑判決を求めていたものの、被害者側との将来的な金銭支払いに向けた示談契約を成立させ、ごく一部ではありますが、部分的に支払い実績を作っていったことが判決でも評価されました。

7-3. 事例3:刑事事件化の回避

会社の備品を無断で売却した事案で、弁護士の介入により速やかに示談が成立し、刑事事件化を回避できました。

 

8. 横領事件でお悩みの場合は刑事事件専門の弁護士に相談しよう

横領事件は、発覚してからの対応が重要です。特に初期段階での捜査対応や被害者対応が、その後の展開を大きく左右します。横領が発覚した場合や、発覚しそうな場合は、できるだけ早く刑事事件専門の弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することのメリットをまとめると、以下のようになります。

  1. 適切な初期対応により、事態の悪化を防ぐことができる
  2. 示談交渉を有利に進められる可能性が高まる
  3. 逮捕や起訴のリスクを軽減できる
  4. 万が一裁判になっても、適切な弁護を受けられる
  5. 精神的な負担を軽減できる

横領は重大な犯罪ですが、適切な対応をとることで、最悪の事態を回避できる可能性があります。一人で抱え込まずに、専門家である弁護士に相談することで、最善の解決策を見出すことができるでしょう。

横領事件でお困りの方は、ぜひ早期に刑事事件専門の弁護士にご相談ください。24時間365日対応の法律事務所も多くありますので、躊躇せずにお問い合わせください。あなたの未来を守るための第一歩を、今すぐ踏み出しましょう。

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