万引きで弁護士に相談するべき3つのケース|弁護士の選び方や事例も

家族が万引きで逮捕された――そんな突然の出来事に直面すると、多くの方が「どう対応すればよいのか」「弁護士に頼むべきなのか」と動揺し、不安に押しつぶされそうになるものです。万引きは一見「軽い罪」と思われがちですが、実際には警察の捜査が入り、逮捕・送検されることも決して珍しくありません。対応を誤れば、前科がつく可能性や社会復帰への影響も生じます。本記事では、万引きで弁護士に相談すべきケースや、早期解決のためにどのような弁護士を選ぶべきかをわかりやすく解説します。家族として冷静に行動するための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
万引きなどの窃盗事件についてはこちら財産犯罪|取扱業務|刑事弁護のプロフェッショナルJIN国際刑事法律事務所
1.万引きはどんな罪になるのか
万引きは、法律上は「窃盗罪(刑法第235条)」に該当します。
「万引き」という言葉は日常的によく使われますが、刑法上の正式な罪名ではなく、商店などで商品を代金を支払わずに持ち去る行為を指す俗称です。
刑法第235条には、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。万引きもこの「他人の財物を盗む行為」に該当するため、立派な刑事事件となります。被害額が小さくても「犯罪」として扱われ、現行犯逮捕や書類送検されるケースもあります。
また、万引きは繰り返すと実刑になることも多いです。特に常習的な万引き(窃盗の常習者)は、盗犯等の防止及び処分に関する法律(盗犯防止法)の第3条に規定されているように、3年以上の有期拘禁刑というさらに重い刑罰が科されることもあります。
2.万引きをしてしまった場合の解決策
実際に万引きをしてしまい、後悔している場合には、どのような対応を取ることができるのでしょうか。主な解決策としては、次の3つが挙げられます。
- 店側に商品を返却し、誠実に謝罪する: 犯行がすでに発覚している場合はもちろん、まだ発覚していない場合でも、まずは被害店舗に対して商品を返却し、真摯に謝罪することが重要です。被害者が加害者の反省を受け入れてくれた場合、警察への被害届を提出しない、あるいはすでに提出した被害届を取り下げてくれる可能性があります。
- 自首を検討する:その場では発覚せず逃げられたとしても、防犯カメラの映像や後日の捜査によって逮捕されるおそれがあります。後悔や不安を抱えて生活しているような場合には、自首を検討することも選択肢の一つです。自首をして正直に事実を話すことで、逃亡や証拠隠滅の危険がないと判断され、逮捕を回避できる可能性があります。ただし、自首が成立するのは、事件が警察などの捜査機関にまだ発覚していない段階で自ら申告した場合に限られます。すでに特定されている場合は「出頭」となり、自首による減刑は認められません。自首が成立するかどうか判断が難しい場合は、弁護士に相談して助言を受けることが大切です。
- 示談交渉を行う:示談とは、被害者と加害者が話し合いによって損害賠償や刑事責任の扱いを決め、事件の解決を図る手続です。被害者が示談に応じてくれれば、事件が早期に終結し、不起訴となる可能性もあります。ただし、被害者の感情や事情によっては、示談に応じてもらえないこともあります。そのような場合、本人や家族が直接交渉するのは難しいため、刑事事件に詳しい弁護士に依頼して交渉を進めることが望ましいでしょう。
3.万引きで弁護士に相談するべき3つのケース
家族や知人が万引きで逮捕されたとき、多くの方が「どの段階で弁護士に相談すべきか」と迷われます。万引きは一見軽い犯罪に見えますが、対応を誤ると前科がつく、実刑になるなど、将来に大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、弁護士に相談すべき代表的な3つのケースを解説します。
- 家族が逮捕・勾留されている場合:現行犯逮捕や後日の呼び出しにより勾留された場合は、できるだけ早く弁護士に依頼することが大切です。逮捕後は本人と自由に面会できず、家族が直接支えることが難しくなります。弁護士であれば、警察署での接見が認められ、取調べでの注意点や今後の手続の流れについて助言することが可能です。早期の弁護活動により、勾留の回避や釈放につながるケースもあります。
- 被害店舗との示談を進めたい場合: 万引き事件では、被害店舗との示談が成立すれば、不起訴となる可能性が高まります。ただし、被害者側が家族からの直接連絡を拒むケースも多く、謝罪や賠償を自分たちだけで進めるのは難しいのが現実です。弁護士が代理人として間に入り、法的に適切な形で謝罪と賠償を行うことで、円満な解決に導ける可能性が高まります。
- 再犯・常習で処分が重くなりそうな場合:過去にも万引きを繰り返している場合や、ストレス・依存など心理的な問題が背景にある場合、厳しい処分が下されることがあります。こうしたケースでは、弁護士が医師や支援機関と連携し、更生への取り組みを示すことで、裁判や検察との交渉において情状酌量が得られる可能性があります。
4.万引きに強い弁護士とは
4-1.国選弁護人と私選弁護人
万引き事件で弁護士がつく場合、「国選弁護人」と「私選弁護人」の2つの形があります。
国選弁護人は、逮捕・勾留された本人に資力がない場合、国が費用を負担して選任される弁護士です。刑事手続の基本的な権利を守るために制度化されており、全国の弁護士から当番制で選ばれます。国選弁護人でも真摯に対応する弁護士は多くいますが、刑事事件の経験が豊富な弁護士が選任されるとは限らず、迅速な接見や細やかな示談交渉が難しい場合もあります。
一方、私選弁護人は、家族や本人が費用を負担して依頼する弁護士で、自由に選ぶことができます。依頼者の要望に応じて、逮捕直後から即日接見を行い、取調べ対応や被害者との交渉などを積極的に進められる点が大きな利点です。特に万引き事件では、被害店舗との示談成立が不起訴処分につながることが多く、スピード感と交渉力を重視するなら私選弁護人の選任が有効です。
4-2.どのような弁護士を選ぶべきか
4-1.で述べたように、万引きを含む刑事事件では、私選弁護人を選任したほうが有効ですが、具体的にはどのような弁護士を選ぶべきでしょうか。刑事事件の経験が豊富な弁護士を選ぶことはもちろんですが、万引きに強い弁護士とは、単に刑事事件を扱う弁護士というだけでなく、窃盗事件における弁護活動の経験と実績が豊富な弁護士を指します。どのような弁護士を選ぶべきかのポイントは、以下のとおりです。
- 刑事事件に特化しているか:弁護士には、離婚・相続・労働など多様な分野がありますが、万引きのような刑事事件では、刑事弁護を専門とする弁護士を選ぶことが重要です。刑事事件に精通している弁護士は、逮捕・勾留・取調べ・起訴・示談といった各段階の流れを熟知しており、適切なタイミングで有利な弁護活動を展開できます。特に、「不起訴処分」や「略式罰金」での早期解決実績がある弁護士は信頼できます。
- 万引き事件の解決実績があるか:同じ刑事事件でも、万引きは他の犯罪とは異なる特徴を持ちます。再犯率が高く、心理的・生活的な問題が背景にあるケースも多いため、万引き事件を含む窃盗事件の取り扱い経験が豊富な弁護士が望ましいです。過去に示談成立や不起訴処分を多く獲得している弁護士であれば、被害者対応や検察官との交渉もスムーズに進められます。公式サイトなどで「万引き事件の事例紹介」や「解決実績」を確認しましょう。
- 初動対応が早いか(即日接見が可能か):逮捕直後は、取調べでの発言が今後の処分を大きく左右します。そのため、弁護士がすぐに本人と面会(接見)できるかどうかは極めて重要です。休日や夜間でも対応できる弁護士事務所であれば、早期に適切な助言を行い、誤った供述や不利な展開を防ぐことができます。スピード感のある対応が「勾留回避」や「不起訴処分」に直結する場合もあります。
- 示談交渉に強いか:万引き事件では、被害者(店舗など)との示談成立が大きなカギとなります。示談が成立すれば、起訴を免れる可能性が高まり、刑罰も軽減されます。そのため、被害者とのやりとりを慎重かつ誠実に進められる交渉力が必要です。示談交渉に慣れている弁護士は、相手の感情を尊重しながらも、依頼者の利益を最大限守るバランス感覚を持っています。
- あなたの話をきちんと聞いてくれて、信頼できる人物か:万引き事件を含む刑事弁護では、弁護士と依頼者との信頼関係がとても大切です。相談の際に、あなたの話を丁寧に聞き、否定せず受け止めてくれる弁護士かどうかを見極めましょう。相談中に急かしたり、上から目線で対応したりする弁護士よりも、気持ちに寄り添いながら現実的な解決策を提案してくれる弁護士のほうが、安心して任せられます。事件の内容だけでなく、不安や後悔にも真摯に耳を傾けてくれる弁護士こそ、信頼できるパートナーといえます。
5.万引きを刑事事件専門の弁護士に依頼するメリット
万引きはたとえ少額でも、逮捕・勾留されることがあり、前科がつけば社会的信用を大きく失うおそれがあります。こうした事態を防ぐには、刑事事件を専門とする弁護士による迅速で的確な弁護活動が極めて重要です。刑事事件を専門とする弁護士に依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 逮捕・勾留段階での迅速な対応:刑事事件専門の弁護士は、逮捕・勾留といった初動段階からスピーディーに行動できます。万引き事件では、逮捕から48時間以内に勾留されるかどうかが今後の行方を大きく左右します。刑事事件の経験豊富な弁護士であれば、早期に本人と面会(接見)して状況を把握し、勾留を避けるための意見書提出や身元引受人の確保を迅速に進めます。こうした初動対応の速さは、早期釈放や不起訴処分につながる大きな要素です。
- 取調べ対応に精通している:刑事事件では、取調べでの供述内容が処分を決定づける場合があります。刑事事件に慣れていない弁護士では、警察官や検察官の質問の意図を十分に理解できず、依頼者に不利な結果を招くこともあります。刑事事件専門の弁護士は、捜査機関の取調べ手法を熟知しており、どのように話せば誤解を避けられるか、どのような点を明確にすべきかを具体的に指導します。これにより、不利な供述や誤った自白を防ぐことができます。
- 不起訴処分・略式罰金の獲得に向けた交渉力:万引き事件の解決には、被害者との示談が極めて重要です。刑事事件に強い弁護士は、被害店舗や代理人との交渉を誠実かつ慎重に行い、感情的な対立を避けながら円満な示談成立を目指します。示談が成立すれば、検察官が「処罰の必要なし」と判断し、不起訴処分や罰金のみでの早期解決につながる可能性が高くなります。交渉経験の豊富な弁護士ほど、依頼者の利益を最大限に引き出せるでしょう。
- 捜査機関との交渉力と判断力がある:刑事事件専門の弁護士は、警察や検察との交渉に慣れています。捜査の目的や流れを的確に読み取り、どの段階で何を主張すべきかを判断できる点が大きな強みです。たとえば、本人が強く反省している場合や家族の監督体制が整っている場合には、そうした事情を検察官に的確に伝えることで、起訴を回避できる可能性が高まります。刑事弁護の現場を熟知した弁護士であれば、単なる「法的手続」ではなく、人間的な再評価を引き出すための説得力ある弁護活動を行うことができます。
- 前科回避・社会的影響の最小化:万引きで有罪判決を受けると、前科が残り、職場や学校、家族関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。刑事事件専門の弁護士は、早期の釈放と不起訴処分を目指し、報道や職場対応など社会的ダメージを最小限に抑える方法も提案します。
以上のように、万引き事件を刑事事件専門の弁護士に依頼することで、逮捕直後からの迅速な弁護、取調べ対策、示談交渉、そして捜査機関との適切な交渉まで、すべての段階で有利な立場を築けます。刑事事件はスピードと経験が結果を左右します。早期に専門弁護士へ相談することが、前科を防ぎ、人生を立て直すための最も確実な一歩です。
6.弁護を依頼した時の流れ
当事務所では、刑事事件に直面された方が少しでも安心してご相談いただけるよう、常にご相談者様の立場に寄り添い、丁寧かつ誠実な対応を心がけております。ご依頼から解決までの基本的な流れは、以下の通りです。
■ 初回のご連絡・ご相談
まずはお電話または当事務所ウェブサイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。
初回のご相談(電話・メール)は無料で承っております。どのような小さな不安でも構いませんので、少しでも心配な点があればお早めにご相談ください。状況が緊迫している場合には、遠隔で契約手続を行い、逮捕・勾留中のご本人のもとへ弁護士が速やかに接見に向かうことも可能です。
■ 面談・ご契約手続
ご相談内容を踏まえ、弁護士が詳しく事情をお伺いしたうえで、今後の見通しと対応方針をご提案いたします。弁護活動をご希望される場合には、契約書にご署名いただき、正式にご依頼をお引き受けいたします。
■ 調査・方針決定・交渉対応
弁護士が警察や検察から事件に関する資料を収集し、事実関係を整理したうえで、依頼者の状況に最も適した弁護方針を策定します。勾留中のご本人には早い段階で接見を行い、直接お話を伺いながら、今後の取調べ対応や心構えについて具体的に助言いたします。
また、被害者がいる事件の場合には、ご依頼者に代わって誠実に示談交渉を進め、円満な解決を目指します。
■ 捜査段階での弁護活動
取調べの際に不利な供述をしてしまうことがないよう、適切な助言を行います。必要に応じて、反省文の作成支援や意見書の提出も行い、検察官に有利な事情を丁寧に伝えます。ご本人に「接見禁止」が付されている場合には、解除の申立てを行い、ご家族や関係者との面会が可能となるよう尽力します。さらに、勾留が不当であると判断される場合には、勾留取消請求や準抗告などの法的手段を通じ、早期釈放を目指します。
■ 公判での弁護活動
起訴された場合には、裁判に向けた万全の準備を行います。証拠の精査や証人尋問などを通じて、無罪の獲得または刑の軽減を目指し、依頼者の立場と事情を最大限考慮した弁護活動を展開します。
どの段階においても、依頼者の権利を守り、最善の結果を導くために全力で取り組みます。
7.万引きは速やかに刑事事件専門の弁護士に相談しよう
万引きは、決して特別な人だけが起こす犯罪ではなく、誰にでも起こり得る「身近な刑事事件」です。たとえば、経済的な困窮や一時的な出来心、ストレスや孤独感など、ほんの小さなきっかけから手を伸ばしてしまうケースも少なくありません。また、高齢者や認知症の方が記憶の混乱から意図せず商品を持ち出してしまう場合、学生や主婦が軽い気持ちで万引きをしてしまう場合など、背景はさまざまです。しかし、どのような理由であれ、万引きはれっきとした「窃盗罪」として扱われ、刑事事件として捜査・処分の対象となります。
そして、万引きは「軽い犯罪だから大丈夫」と考えて放置してしまうと、後に大きな代償を払うことになりかねません。警察に被害届が出され、逮捕・勾留される可能性もあり、結果として「前科」が残ることで、就職や進学、社会復帰にも大きな影響が生じます。特に、再犯とみなされた場合は処罰が重くなり、実刑判決を受けるおそれもあります。そのため、発覚後にどのような対応を取るかが、今後の人生を大きく左右することになるのです。
一方で、万引きの事件であっても、早い段階で正しい対応を取ることで、結果を大きく変えることが可能です。例えば、被害者に対して誠実に謝罪を行い、被害弁償や示談が成立すれば、被害者が「処罰を望まない」という意思を示してくれる場合があります。このような場合、検察官が起訴を見送る「不起訴処分」となる可能性が高まり、前科を回避できることもあります。また、逮捕されてしまった場合でも、弁護士が速やかに対応することで、早期の釈放を実現できるケースもあります。
さらに、仮に起訴された場合であっても、弁護士の活動次第では「執行猶予付き判決」となる可能性もあります。執行猶予がつけば、すぐに刑務所に入ることはなく、社会生活を続けながら更生の機会を得ることができます。このように、弁護士による適切な弁護活動は、事件の結果だけでなく、その後の人生の立て直しにも大きく関わってくるのです。
刑事事件の中でも、万引きは「小さなきっかけで誰でも関わってしまう可能性のある事件」です。しかし、早期に専門の弁護士へ相談することで、事態の悪化を防ぎ、より良い解決策を導くことができます。弁護士は、被害者との示談交渉や警察・検察との対応、取調べへの助言など、あらゆる局面で依頼者を守る役割を果たします。ご自身やご家族が万引きに関わってしまった場合、恥ずかしさや不安から行動をためらう方も多いですが、その「ためらい」が後悔につながることも少なくありません。
勇気を出して、まずは一歩を踏み出してください。刑事事件に精通した弁護士に早期に相談することこそが、人生を守る第一歩です。どんなに小さな問題に見えても、放置せず、確かな専門知識と経験をもつ弁護士の力を借りて、再出発への道を切り開くことが大切です。
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