交通事故の加害者になってしまったら|弁護士に依頼すべきケースは?

交通事故の加害者となってしまったとき、多くの方が動揺し、「どうすればよいのか」と戸惑うものです。しかし、そんな時こそ冷静に、法的にも適切な行動をとることが何より重要です。今回は、万が一自分が交通事故の加害者になってしまった場合に取るべき対応と、その後の責任や注意点について解説します。

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目次

加害者が必ず行うべき3つの対応

もし交通事故で加害者となってしまった場合、必ず行うべきことは以下の3点です。

  1. 負傷者の救護:まず最優先すべきは、負傷者の確認と救護です。怪我人がいる場合には、可能な範囲で応急処置を行い、すぐに救急車を呼びましょう。負傷者の救護は加害者の法的義務です。救護を怠り現場を離れると「救護義務違反」として、道路交通法により厳しく処罰されます。
  2. 危険防止措置:事故現場では、二次被害を防止するための措置を取る必要があります。車を安全な場所に移動させ、路上に散乱した物を片付け、発煙筒を炊いて後方車両に注意を促しましょう。
  3. 警察への通報:交通事故の当事者は、必ず警察に事故の発生を報告しなければなりません。事故の場所・時間・経緯を正確に説明し、被害者と連絡先を交換します。その後、事故車両や現場の写真を撮影し、証拠を残しましょう。そして、速やかに加入している保険会社に連絡を入れます。また、加害者自身も体調に異変がないか確認し、病院で診察を受けることをおすすめします。

加害者に生じる3つの責任

交通事故の加害者には、「民事責任」「刑事責任」「行政上の責任」という3つの法的責任が生じます。

  1. 民事責任:民事責任とは、被害者に対して損害賠償を行う責任です。治療費・休業損害・慰謝料・交通費など、被害者に生じた損害を賠償します。示談交渉や訴訟によって、支払金額や方法が決定されます。
  2. 刑事責任:刑事責任とは、交通事故によって法令に違反した場合に、拘禁刑や罰金刑が科される責任です。人身事故を起こすと「自動車運転処罰法」違反に該当し、重大な場合には起訴・裁判に発展することもあります。特に、ひき逃げや報告義務違反がある場合は、より重い処罰が科されます。
  3. 行政上の責任:交通事故や違反を起こすと、運転免許に関して行政処分が行われます。加算点数が一定に達すると免許停止や取消となり、事故の重大性や過失の程度によっては、一度の事故で免許取消となる場合もあります。

加害者が絶対にしてはいけない4つの行動

交通事故を起こした後には、以下の行動は絶対に避けなければなりません。

  1. 救護せず現場を離れる:事故を起こした直後、何よりも優先すべきは「被害者の救護」です。それにもかかわらず、怪我人を放置したまま現場を立ち去る行為は、「救護義務違反」に該当し、いわゆる“ひき逃げ”として非常に重い罪に問われます。この違反が成立すると、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という厳しい刑罰が科される可能性があります。また、被害者が死亡した場合や重傷を負った場合には、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などの罪と併合され、さらに重い処分を受けることになります。一瞬の恐怖や混乱から逃げ出してしまう気持ちは理解できますが、救護を怠ることは社会的にも極めて非難される行為です。その場から逃げることは、被害者の命を奪う危険を高め、自分の人生をも大きく狂わせる結果になりかねません。まずは落ち着いて、被害者の救命と安全確保に全力を尽くすことが何より重要です。
  2. 警察を呼ばない:交通事故を起こした場合、警察への通報は加害者・被害者双方の法的義務です。事故の規模が小さい、物損だけだから大丈夫、などと自己判断して通報を怠ると、「報告義務違反」に該当し、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科される可能性があります。また、警察を呼ばないまま事故処理を済ませてしまうと、後に保険金の請求や示談交渉の際に「事故証明書」が発行されず、保険が適用されない・被害者や第三者とのトラブルが長期化するなど、重大な不利益を招くことになります。その場の空気に流されて「警察は呼ばなくてもいい」と被害者に言われても、必ず警察に通報しましょう。事故の正確な記録を残すことが、加害者・被害者双方のためになります。
  3. その場で示談をしてしまう:事故現場で被害者と「もういいですよ」「これで済ませましょう」といった口約束や現金のやり取りをしてしまうことは、非常に危険です。一見、円満解決のように見えても、後日になって「痛みが取れない」「後遺症が出た」と新たな損害賠償を請求されるケースが少なくありません。また、現場で示談してしまうと、自動車保険が使えなくなるおそれもあります。保険会社を通さずに行った示談は、正式な保険手続として認められないことが多く、結果的に全額自己負担となる危険性があります。示談交渉は、事故の状況・過失割合・被害の程度などを踏まえ、専門的な判断が必要です。そのため、必ず保険会社や弁護士を通して行うことが鉄則です。安易な現場示談は、後々自分を苦しめる結果になりかねません。
  4. 内容が不明な書類にサインする:事故の直後は、被害者やその家族、あるいは関係者から「念書」「自認書」「誓約書」などといった書面への署名を求められる場合があります。しかし、記載内容があいまいなままサインしてしまうと、後の示談交渉や訴訟において不利な証拠として扱われる可能性があります。たとえば、賠償金額や過失割合、支払い時期などについて一方的に不利な条件を承諾してしまうような書面に署名してしまうと、その後の交渉で覆すことが難しくなり、想定以上の負担を強いられることもあります。被害者への誠意を示したい気持ちは大切ですが、法的に効力のある書面は慎重に扱うべきです。内容が不明確な文書には絶対に署名せず、必ず弁護士や保険会社に確認を取ってから対応するようにしましょう。

交通事故を起こしてしまった場合、弁護士に相談すべき3つのケース

交通事故を起こしてしまった場合でも、すべてのケースで弁護士が必要になるとは限りません。しかし、次のようなケースでは、早急に弁護士へ相談することが非常に重要です。

  1. 被害者がけがをした、または死亡事故に発展したケース:人身事故を起こしてしまった場合、前述の通り、加害者には刑事責任・民事責任・行政責任の3つが同時に問われることになります。たとえ「軽傷」や「ちょっとした接触事故」と思っていても、被害者に後遺障害が残る可能性がある場合や、後日症状が悪化した場合には、「過失運転致傷罪」として立件される可能性があります。また、被害者やその家族との示談交渉は、精神的にも大きな負担となります。感情的な対立が起きると、話し合いがこじれ、かえって事態を悪化させることもあります。弁護士が介入すれば、法律に基づいて冷静かつ公平に示談を進めることができ、刑事処分を軽減するための具体的な方針も立てられます。特に死亡事故や重傷事故の場合、早期に弁護士が関与することで、捜査機関との対応、被害者側との交渉、保険会社との手続など、複雑な問題を一括してサポートしてもらうことが可能です。
  2. 過失の有無や過失割合をめぐって争いがあるケース:交通事故では、「どちらがどの程度悪いのか」という過失割合が非常に重要です。保険会社は、独自の基準をもとに過失割合を提示してきますが、その内容が加害者にとって妥当であるとは限りません。実際には、相手方にも一部の過失があるにもかかわらず、全てを自分の責任として認めてしまうと、結果的に大きな損害賠償を負うことになります。弁護士に相談すれば、交通事故の現場状況・監視カメラ映像・警察の実況見分調書・ドライブレコーダーの映像などをもとに、客観的な証拠を整理してくれます。また、これまでの判例や裁判例に照らし合わせて、より正確な過失割合を主張することができます。特に、信号無視や右折・左折時の衝突など、判断が分かれやすい事故では、専門的な法律知識と交渉力をもつ弁護士のサポートが不可欠です。
  3. 任意保険に加入していない、または保険でカバーされない部分がある場合:任意保険に未加入の場合、示談交渉・損害賠償対応をすべて自分で行わなければならず、法律知識がないまま進めるのは非常に危険です。また、保険でカバーされない責任(飲酒・無免許・ひき逃げなど)が発生した場合も、刑事処分が重くなるため早急に弁護士のサポートが必要です。弁護士が入ることで、示談の成功率が上がり、最終的な処分にも大きく影響します。

 必要な場面で早期に弁護士へ相談することで、刑事・民事の双方で不利な結果を避け、将来への影響を最小限に抑えることができます。

交通事故の加害者となってしまった場合は、刑事事件の専門家に相談しよう

 交通事故の加害者となってしまった場合、まず冷静に行動することが何よりも大切です。しかし、人身事故などで被害者がけがを負った場合には、刑事事件として扱われる可能性が高くなります。過失運転致傷罪などにより罰金刑や拘禁刑が科されることもあり、その後の人生に大きな影響を及ぼすおそれがあります。こうした状況で、自分ひとりで対応するのは極めて危険です。警察や検察とのやり取り、被害者との示談交渉など、どれも専門的な判断が求められる局面だからです。

刑事事件に精通した弁護士に相談すれば、今後の見通しを踏まえた適切な対応方針を立てることができます。弁護士は、捜査機関とのやり取りをサポートし、必要に応じて被害者との示談交渉を代理してくれます。早期に弁護士が関与することで、逮捕や起訴を避けられる可能性が高まり、処分の軽減にもつながります。交通事故は誰にでも起こり得るものですが、起こしてしまった後の対応こそが最も重要です。刑事事件専門の弁護士に早めに相談することが、再出発への第一歩となります。

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