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飲酒運転は刑事事件専門の弁護士へ|弁護士が必要な理由や逮捕後の流れも

飲酒運転とは、アルコールを摂取した状態で自動車やバイクなどを運転することを指します。日本の道路交通法では非常に厳しく禁止されており、公共の安全に対する重大な違反行為とみなされます。今回の記事では、飲酒運転で事故を起こしてしまった方、飲酒運転で警察から捜査を受けた方などのために、飲酒運転の種類や刑罰、飲酒運転をしてしまった場合、どのように対応したらよいのかを解説します。

飲酒運転を含む交通犯罪に関する情報はこちらをご覧ください 交通犯罪|取扱業務|刑事弁護のプロフェッショナルJIN国際刑事法律事務所

目次

1. 飲酒運転の種類と刑罰

飲酒運転には主に以下の2種類があります。

  •  酒気帯び運転(しゅきおびうんてん)

呼気1リットル中のアルコール濃度が 0.15mg以上0.25mg未満で運転した場合を酒気帯び運転と呼びます。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金で、90日間の免許停止となります。

  •  酒酔い運転(さけよいうんてん)

検知されたアルコール濃度に関係なく、アルコールの影響で正常な運転ができない状態で運転した場合を酒酔い運転と呼びます。酒気帯び運転より罰則は厳しくなり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金で、即免許停止(欠格期間3年)となります。

上記に関しては、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定されており、人を負傷させた場合には15年以下、人が亡くなった場合には1年以上20年以下の有期懲役(※来月2025年6月1日からは拘禁刑となります)が科されます。

2. 飲酒運転の同乗者や酒を提供した人への罰則

飲酒運転については、飲酒運転をした本人だけでなく、同乗者や、車で来ていると知っていて酒を提供したりすすめた人、飲酒をしている(する予定)のを知っていて車両を貸した人も罰せられます。

飲酒運転の同乗者

  • 酒気帯び運転に同乗した場合:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • 酒酔い運転に同乗した場合:3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。

ただし、運転者の飲酒を知らなかった場合は同乗者が罪に問われることはありません。本当に飲酒運転であることを知らなかったかは、当時の客観的な事実を総合的に判断するので、取り調べにおいて「知らなかった」と主張したとしても、「運転手と一緒にお酒を飲んでいた」、「運転手から明らかにお酒の匂いがする」といった客観的事実がある場合は、同乗者も罰則の対象になる可能性が高いです。

車で来ていることを承知でお酒を提供したりすすめた人

  • 酒気帯び運転の人にお酒を提供:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • 酒酔い運転の人にお酒を提供:3年以下の懲役または50万円以下の罰金

飲酒運転をするおそれがある者に対して、酒類を提供または飲酒をすすめる行為が該当します。運転することを完全に知らなかった状態で単にお酌をするなどの行為は罪に問われません。

飲酒しているのを知っていて車両を貸した人

  • 酒気帯び運転の人に車両を貸与:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 酒酔い運転の人にお酒を提供:5年以下の懲役または100万円以下の罰金

飲酒しているのを知っていて車両を貸した人についての罰則は運転した人と同様の罰則が設けられています。飲酒しているのを知らずに、もしくは飲酒する予定を知らずに車両を貸した場合は罪には問われませんが、前述のとおり、いくら「知らなかった」と主張しても、明らかに運転手の飲酒運転もしくは飲酒する予定を知っていたであろう客観的事実があれば、車両提供者も罪に問われます。

3. 飲酒からどれくらい経てば運転していいのか

「お酒を飲んでからどれくらい時間がたてば運転してもいいのか」という問いには、明確な「○時間後なら大丈夫」という答えがありません。それは、アルコールの体内での分解速度が個人差によって大きく異なるためです。体格、性別、体質、飲んだ量やアルコール度数、飲酒のスピード、食事の有無などによってアルコールの分解速度は変わります。一般的に、人間の体は1時間で体重1kgあたり約0.1gのアルコールを分解できるとされており、たとえば体重60kgの人がビール中瓶(アルコール約20g)を1本飲んだ場合、体内で完全に分解されるまでに約4~6時間かかるとされています。お酒を飲んだ後、何時間後だったら車を運転してよいかどうか、また違法にならないかは、前述のとおり、道路交通法で定められており、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上の場合、たとえお酒一滴でも、飲酒後相当時間経っていたとしても違法になってしまいます。したがって、当日飲んでいなくても、前日の深酒が翌朝まで残っている「残酒運転」で摘発されるケースもあります。特に深夜まで飲んだ場合は、翌朝でもアルコールが体内に残っている可能性があるため注意が必要です。

4. 自転車の飲酒運転について

昨今自転車による事故が増加していることから、2024年11月1日に新たな道路交通法が施行され、自転車の酒気帯び運転に対しても新たに罰則が設けられています。新たに定められた罰則は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、自動車やバイクの罰則と同様です。今まで、自転車に関しては、運転免許もなく、交通ルールが曖昧なところがありましたが、今後はますます厳しく取り締まわれますので、注意が必要です。

5. 飲酒運転で逮捕された後の流れ

5-1. 逮捕

飲酒運転が発覚すると、警察官が現場でアルコール検知を行い、呼気中のアルコール濃度が基準値(0.15mg/L)を超えている場合、酒気帯び運転として違反が成立します。また、明らかに酔っていて正常な運転ができない状態であれば、酒酔い運転となり、より重い罪となります。その場で逮捕されると、警察署に連行され、取り調べを受けます。逮捕後、最大48時間は警察の留置場に留め置かれ、取り調べや身柄拘束の判断が行われます。なお、飲酒運転で逮捕されるもっとも多いケースは、検問を受けた際や交通事故を起こした際に現行犯逮捕されるケースです。飲酒運転に及んだものの、自宅に到着したのであれば、飲酒運転の証拠もなく、後日逮捕される可能性は低いです。(検問で呼気検査を拒否した場合や、交通事故を起こし逃走した場合などには、防犯カメラの映像や車のナンバープレートなどから身元を特定され、後日逮捕される可能性があります。) 逮捕後は、警察署で、当日の行動やどれくらい飲酒したか、運転の目的などを聴取されます。

5-2. 検察送致(送検)

警察は、48時間以内に事件を検察庁に送致(送検)します。検察官のもとへ送致されたあとも、再度取調べを受け、事件の経緯や犯行の理由などについて詳しく聴取されます。検察官は取調べをもとに、さらに24時間以内に勾留請求を行うか否かを判断します。

5-3. 勾留と勾留延長

重大な事案や逃亡・証拠隠滅の恐れがあると判断された場合、裁判官の判断により勾留(最大10日)が認められることがあります。さらに必要があると判断されれば、延長(最大10日間)が加わります。

飲酒運転で勾留される可能性の高いケースは以下のとおりです。

  • 事故を起こしている場合:死亡事故や重傷事故を伴う飲酒運転は、「危険運転致死傷罪」が適用される可能性があり、重罪とされます。特に被害者がいる場合は、供述や証拠の収集に時間を要するため、勾留されやすいです。
  • ひき逃げ・逃走行為があった場合:飲酒運転の後に逃げようとした、あるいは実際に逃げて事故を放置した場合、「証拠隠滅」や「逃亡」の可能性が高いとされ、勾留されやすくなります。
  • 酒酔い運転(正常な運転が困難な状態):単なる酒気帯びより重い罪(5年以下の懲役または100万円以下の罰金)で、酩酊状態が重度な場合は悪質と判断されやすく、勾留される可能性が高くなります。
  •  再犯・前科がある場合:過去に同種の違反歴や刑事処分歴(前科)があると、悪質性が高いとされ、厳しい処分が下されやすく、勾留の必要性が認められやすくなります。
  •  身元や住居が不明確な場合:住所不定、定職がない、連絡が取れにくいなどの事情があると「逃亡」の可能性があるとされ、勾留されやすくなります。

一方で、以下のような条件が揃っていれば、勾留されずに釈放(在宅捜査)となる可能性もあります。

  • 初犯である
  • 飲酒量が少なく、軽度の酒気帯び運転
  • 自発的に警察の呼びかけに応じている
  • 事故や被害者がいない
  • 身元・住所・職業が明確で、逃亡・証拠隠滅の恐れがない
  • 家族や弁護士が身元引受を申し出ている

5-4. 起訴・不起訴の判断

勾留期間中または満了時に、検察官が起訴(正式に裁判にかける)か、不起訴(裁判にしない)の判断を下します。初犯で反省の意思が見られ、事故やけが人がいない場合、略式命令(罰金刑)または不起訴になることがあります。悪質なケースや再犯、事故を伴う場合は起訴され、裁判手続に移行します。

5-5. 略式手続と正式裁判

起訴された後、事件の内容が比較的軽微とされ、被疑者が罪を認めている場合は、略式手続によって簡易的に罰金刑が科されることがあります。これは通常、書面審理で行われ、数日以内に終了します。一方、重い量刑が見込まれる場合や、争点がある場合は正式裁判に移行します。正式裁判では、地裁で公判が開かれ、弁護人と検察官がそれぞれ主張・立証を行います。

5-6. 判決と刑の執行

裁判の結果、判決が下されます。罰金刑であっても、略式命令による罰金の納付=有罪判決であるため、「前科」として記録に残ります。

6. 飲酒運転を刑事事件専門の弁護士に依頼するメリット

飲酒運転は単なる交通違反ではなく刑事事件であり、対処を誤れば実刑・免許取消といった重大な結果につながります。飲酒運転で逮捕されてしまった場合は、刑事事件専門の弁護士に相談しましょう。刑事事件専門の弁護士に依頼すると、以下のようなメリットが得られます。

6-1. 早期釈放・勾留阻止が可能

刑事事件専門の弁護士は、逮捕直後から迅速に警察・検察に働きかけ、勾留を防いだり、準抗告を申し立て、勾留取り消しを求めるなど、身柄解放に向けた活動を行えます。これにより、仕事や家庭への支障を最小限に抑えることができます。事案にもよりますが、弁護士の働きかけがないと、勾留され20日間近く身柄を拘束されることも少なくありません。

6-2. 不起訴を目指した弁護活動や示談交渉

弁護士は反省文や誓約書の作成・家族や雇用主からの嘆願書提出を行い、検察官に被疑者の反省の意思を示し不起訴を目指します。また、事故やけが人などの被害者がいる場合、示談成立の有無が処分結果に大きく影響します。刑事事件専門の弁護士は、示談交渉の経験値が圧倒的に高い為、被害者との接触・交渉・示談書の作成など、法律的に有効な形で解決を目指します。弁護士が間に入ることで、当事者同士の感情的対立を避けることができ、法的に有効な和解を形成できます。また、示談成立によって不起訴または刑の減軽を狙えるという重要な利点があります。

6-3. 略式起訴・罰金での終結に誘導できる

起訴を避けるのが難しい場合でも、正式裁判にならず略式手続(罰金刑)で済ませるように働きかけることが可能です。これは手続が迅速かつ簡素に済み、被疑者の負担も最小限に抑えられます。弁護士がいないと、事案によっては正式裁判に進むリスクが高まります。

6-4. 取調べ対応や供述のアドバイス

警察や検察での取調べでは、曖昧な供述が不利に働く可能性があります。刑事弁護士がいれば、供述内容を整理し、被疑者が不利な発言を回避できるようアドバイスができます。自分の言葉が法的にどう評価されるかを、事前に知っておけるのは大きなメリットです。

7. 飲酒運転で逮捕された場合、国選弁護人と私選弁護人のどちらに依頼するのか

飲酒運転を含む刑事事件で逮捕・起訴された場合、被疑者や被告人には「弁護人をつける権利」があります。弁護人は、被疑者の権利を守り、適正な手続や裁判が行われるよう支援する重要な存在です。弁護人には、大きく分けて「国選弁護人」と「私選弁護人」の2種類があります。両者の違いは、選任方法、費用、対応の柔軟性などにおいて現れます。

・国選弁護人:国選弁護人とは、一定の経済的条件を満たした被疑者や被告人に対して、国が選任する弁護士です。憲法第37条では「刑事被告人は、すべての事件について、自己のために弁護人を依頼する権利を有する」と規定されており、経済的な理由で弁護士を雇えない人でも、国の費用で弁護士の援助を受けることができるようになっています。国選弁護人は、裁判所が登録弁護士の中から選任するため、被疑者側で弁護士を選ぶことはできません。ただし、弁護士費用は原則として国が負担するため、本人の経済的負担は非常に少ないのが特徴です(ただし、判決によっては一部費用負担が命じられる場合もあります)。

・私選弁護人:私選弁護人とは、被疑者本人やその家族が自ら選んで依頼する弁護士のことです。弁護士費用は依頼者が全額負担しますが、その分、弁護士を自由に選ぶことができ、対応の柔軟性や活動の積極性が高いという特徴があります。私選弁護人は、逮捕直後などの早い段階から活動を開始することが可能であり、例えば勾留請求の阻止や早期釈放のための準抗告申し立て、検察に対する不起訴働きかけ、被害者との示談交渉など、多面的な弁護活動が期待できます。

国選弁護人は費用の面でメリットがありますが、飲酒運転含む刑事事件の経験が全くない弁護士が選任されてしまう場合もあります。また、当事務所には、「国選弁護人のやる気が感じられなく、不安だ」とご相談を受けることも多々あります。もちろん、国選弁護人の中でも真摯に事件に向き合う弁護士はおりますが、派遣されてくる弁護士は、どんな分野が得意な弁護士なのかは分からない為、飲酒運転で逮捕されてしまった場合は、可能な限り、私選弁護で、刑事事件専門の弁護士に依頼することをお勧めいたします。

8. 弁護を依頼した時の流れ

当事務所に依頼いただいた場合の対応の流れは以下のとおりです。

  1. 電話・メールでのご相談:まずはお電話か公式ホームページのお問合せにてご連絡ください。初回のお電話・メールでのご相談は無料となっております。少しでも不安に思われる場合は、躊躇せずご連絡ください。(緊急性の高い事案によっては、リモートで契約をさせていただき、依頼者の方が逮捕勾留されている場合は、すぐに接見に行かせていただきます。)
  2. 初回相談:お電話などでお伺いした事件の詳細を詳しく弁護士にご説明いただき、今後の方針を相談します。正式に受任いただける場合は必要書類にサインをいただき受任となります。
  3. 事実関係の調査と弁護方針の決定・示談交渉・接見:弁護士が警察や検察から情報を収集し、事件の全容を把握し、最適な弁護方針をお伝えいたします。被疑者が逮捕勾留されている場合はすぐに接見に行き、被疑者からのお話を伺い、必要なアドバイスを伝えます。被害者がいる場合は、依頼者に代わって被害者と示談交渉を行います。
  4. 捜査対応:被疑者に不利な供述調書を作られないよう、取り調べへの立ち会いを行ったり、意見書や反省文の提出など、捜査段階での対応を行い、不起訴を目指します。被疑者に対し「接見等禁止」(弁護士以外の人物と面会や手紙の授受を禁じる命令です。)が出ている場合は、「接見等禁止解除の申立て」を行い、家族や友人などに会えるよう取り計らい、不当な勾留に対しては「勾留決定の取消し」や「準抗告」を申し立てます。なるべく早く外に出て、通常の生活に戻っていただくことを優先します。
  5. 裁判対応:起訴されてしまった場合は、裁判に向けた準備を行い、法廷で証人尋問をするなどの弁護活動を展開します。

9. 飲酒運転は速やかに刑事事件専門の弁護士に相談しよう

飲酒運転は、日本の道路交通法及び刑法において厳しく処罰される行為であり、社会的にも極めて重大な問題とされています。単なる交通違反ではなく、場合によっては人身事故や死亡事故に発展するリスクをはらんでいるため、警察の対応も厳格です。もし万が一、飲酒運転で検挙された場合には、速やかに刑事事件を専門的に取り扱う弁護士に相談することが、今後の人生を左右する重要な選択になります。飲酒運転をしてしまったという事実は、社会的にも個人的にも大きなダメージを受けるでしょう。しかし、過去は変えられません。大切なのは、「これからどう行動するか」です。一人で悩んでいても、問題は解決しません。むしろ、間違った判断をして状況を悪化させるリスクがあります。刑事事件専門の弁護士は、こうした問題に数多く対応してきた経験と知識を持っています。自分自身と家族の未来を守るためにも、ご自身が信頼できる弁護士に相談しましょう。

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