もし家族が暴力事件で逮捕されてしまった場合、多くの方がどのように対処すべきか、どのような結果が待っているのか、様々な疑問が浮かび不安になることでしょう。
本記事では、暴力事件に関する重要な情報と、刑事事件専門の弁護士に相談することの重要性について解説します。
1. 暴行罪とは?
暴行罪は、刑法第208条に規定されている犯罪です。具体的には、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定められています。
暴行罪の特徴は、以下の点にあります:
- 傷害に至らない身体的攻撃が対象
- 相手に怪我をさせる意図がなくても成立する
- 実際に身体的接触がなくても成立する可能性がある
暴行罪が成立する具体的な行為には、以下のようなものがあります。
- 殴る、蹴る、たたくなどの直接的な暴力行為
- 着衣を強く引っ張る
- 胸ぐらをつかむ
- 食塩をふりかける
- 室内で日本刀を振り回す
- 狭い室内で太鼓を連打する(音による暴行)
- 相手を驚かせる目的で近くに石を投げる
- 水やお茶をかける
- 物を投げつける
- 唾を吐きかける
- 大声で怒鳴る(相手の耳元で)
これらの行為が「人の身体に対する不法な有形力の行使」と判断されれば、暴行罪が成立する可能性があります。
2. 暴行罪で逮捕された後の流れ
暴行罪で逮捕された場合、以下のような流れで手続きが進んでいきます。
- 警察官による逮捕(現行犯逮捕、通常逮捕、緊急逮捕)
- 警察官による取り調べと事件送致(最大48時間以内)
- 検察官による取り調べ(送致から24時間以内)
- 勾留請求(検察官から裁判官に対して)
- 勾留質問(裁判官による被疑者への質問)
- 勾留決定または釈放(裁判官が判断)
- 勾留期間:最長10日間(延長可能で最大20日間)
- 起訴または不起訴の決定(検察官が判断)
この流れの中で弁護士が介入することで、被疑者の権利を守り、適切な対応を取ることができます。
3. 暴行事件では示談が重要
暴行事件において、示談は非常に重要な役割を果たします。示談とは、加害者と被害者が話し合いで和解することを指します。示談が成立すると、以下のようなメリットがあります。
- 不起訴になる可能性が高まる
- 起訴された場合でも、刑が軽くなる可能性がある
- 被害者との関係修復につながる
示談交渉を成功させるためには、以下の点に注意が必要です。
- 誠意ある謝罪
- 適切な示談金の提示
- 再発防止の約束
弁護士は、これらの交渉を被害者や被害者の弁護士と行い、依頼者にとって最適な条件での示談成立を目指します。
4. 暴行罪で弁護士に依頼するメリット
暴行罪で逮捕された場合、弁護士に依頼することで以下のようなメリットがあります。
- 早期釈放の可能性が高まる
- 適切な捜査対応アドバイスを受けられる
- 示談交渉をお願いできる
- 不起訴処分を獲得する可能性が高まる
- あらゆる場面での法的手続きの説明が受けられる
- 心理面での「安心」が得られる
特に、逮捕直後の対応が重要です。弁護士は、警察官や検察官との交渉を通じて、被疑者の権利を守り、最善の結果を目指します。
5. 依頼できる弁護士の種類
暴行事件で弁護士を依頼する場合、主に以下の2種類があります。
5-1. 私選弁護人
被疑者や家族が自ら選んで依頼する弁護士です。以下の特徴があります。
- 自由に弁護士を選べる
- 弁護活動の範囲や内容を依頼者と相談して決められる
- 費用は依頼者が負担する
5-2. 国選弁護人
国が選任する弁護士です。以下の特徴があります。
- 被疑者に資力がない場合に選任される
- 弁護士を選ぶことはできない
- 費用は国が負担する
5-3. 依頼できる弁護士の種類のまとめ
私選弁護人を選ぶメリットは、自らの判断で弁護士を選べる点です。弁護士からの紹介、信頼できるオンライン情報などを基に、専門分野に知見を持った弁護士を選ぶことができ、これにより積極的で充実した弁護活動を期待できます。特に、逮捕前や勾留前の段階から弁護活動を開始できるため、早期解決の可能性が高まります。
6. 暴行事件を刑事事件専門の弁護士に依頼するメリット
暴行事件を刑事事件専門の弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
6-1. 豊富な経験と専門知識
刑事事件の専門家は、暴行事件に関する豊富な経験と知見を持っています。
6-2. 捜査機関との交渉力
多くの場数を踏んでおり、引き出しも豊富なため、警察官や検察官との駆け引きに長けています。依頼者に有利な形での捜査対応をしていくことができます。
6-3. 適切な弁護戦略の立案
事案の特性を理解し、最適な弁護戦略を立てることができます。
6-4. 示談交渉のスキル
被害者との示談交渉を効果的に進める能力があります。
6-5. 刑事裁判のスキル
起訴された場合、法廷で勝負は決まります。尋問技術や裁判所との駆け引きなど、あらゆる法廷技術が判決に影響します。
6-6. 最新の法律知識
刑事法の改正や判例の動向に詳しく、最新の法律知識を活かした弁護が可能です。
6-7. ネットワークの活用
他の専門家(精神科医、法医学者、臨床心理士、社会福祉士など)と連携し、充実した弁護活動を展開できます。
刑事事件専門の弁護士は、暴行事件の特性を理解し、被疑者や被告人の立場に立って最善の結果を追求します。これにより、不起訴、無罪判決、より軽い刑罰での判決を得られる可能性が高まります。
7. 弁護を依頼した時の流れ
暴行事件で弁護士に依頼した場合、以下のような流れで弁護活動が進められます。
- 初回相談…事件の概要を弁護士に説明し、今後の方針を相談します。
- 受任手続き…弁護士との契約を結び、委任状を作成します。
- 接見…弁護士が被疑者と面会し、詳細な事情聴取を行います。
- 証拠収集…弁護士が警察や検察から証拠を収集し、分析します。
- 弁護方針の決定…収集した情報をもとに、最適な弁護方針を決定します。
- 示談交渉…必要に応じて、被害者との示談交渉を行います。
- 不起訴処分の働きかけ…検察官に対し、不起訴処分を求める意見書を提出します。
- 起訴後の対応…起訴された場合、公判準備や保釈請求などを行います。
- 刑事裁判…起訴された場合、刑事裁判で弁護活動を行います。
この流れは事案によって変わる可能性がありますが、弁護士は常に依頼者の利益を最優先に考えて行動します。
8. 暴行事件で逮捕された場合の解決事例
以下に、暴行事件で逮捕された場合の解決事例をいくつか紹介します。
8-1. 事例1:示談成立により不起訴処分
飲食店で酒に酔った40代男性が隣のテーブルの客と口論になり、相手の顔を殴打したため、暴行罪で現行犯逮捕された。
解決までの流れ
- 家族が刑事専門弁護士に相談
- 弁護士が被疑者と接見し、事情聴取
- 被害者との示談交渉を開始
- 誠意ある謝罪と適切な示談金の提示
- 示談成立
- 検察官に示談書を提出(可能であれば、被害届取下げ書を警察署に提出)
- 不起訴処分(起訴猶予)
ポイント:早期に弁護士が介入し、迅速な示談交渉を行ったことが不起訴に繋がった。
8-2. 事例2:勾留請求却下により早期釈放
路上で知人と口論になった20代男性が、相手を突き飛ばし暴行罪で逮捕された。
解決までの流れ:
- 逮捕直後に家族が弁護士に相談
- 弁護士が被疑者と接見
- 弁護士が被疑者の家族や勤務先から事情聴取
- 勾留請求に対する意見書を作成・提出
- 裁判官による勾留質問
- 勾留請求却下、被疑者釈放
ポイント:弁護士が被疑者の社会的立場や再犯の可能性の低さを強調し、勾留の必要性がないことを主張した。
8-3. 事例3:執行猶予付き判決
酒に酔った50代男性が、コンビニ店員に暴行を加え、傷害罪で逮捕・起訴された。
解決までの流れ:
- 家族が弁護士に相談
- 弁護士が被告人と面会、事情聴取
- 被害者との示談交渉
- 示談成立、被害弁償
- 情状証人の手配
- 公判での弁護活動
- 執行猶予付き判決を獲得
ポイント:示談成立と被告人の深い反省、再犯防止策(断酒の誓約など)を示したことが、実刑回避につながった。
これらの事例から、早期の弁護士介入と適切な弁護活動が、事態の好転に大きく寄与することが十分にわかります。
9. 暴行事件で逮捕された場合は速やかに刑事事件専門の弁護士に相談しよう
暴行事件で家族が逮捕された場合、速やかに刑事事件専門の弁護士に相談することが極めて重要です。その理由は以下の通りです。
- 初期対応の重要性…逮捕直後の対応が、その後の展開を大きく左右します。弁護士の早期介入により、不利な供述を防ぎ、適切な対応を取ることができます。
- 権利の保護…被疑者の権利を守り、不当な取り調べや長期勾留を防ぐことができます。
- 示談交渉のサポート…弁護士が間に入ることで、円滑かつ効果的な示談交渉が可能になります。
- 専門知識の活用…刑事事件に特化した知識と経験を持つ弁護士が、最適な弁護戦略を立てることができます。
- 精神的な安心に繋がる…不安や混乱の中にある被疑者や家族に、法的アドバイスをして将来への見通しを明確に伝えることで精神面の安定に繋がります。
- 最善の結果を目指す…不起訴や無罪判決、より軽い刑罰での判決を獲得するため、あらゆる可能性を探ります。
- 社会復帰に向けたアドバイス…事件後の生活再建や再発防止についても、適切なアドバイスを提供します。
暴行事件は、その性質上、迅速な対応が求められます。刑事事件専門の弁護士に相談することで、被疑者の権利を守りつつ、最善の結果を目指すことができます。家族が逮捕されたら、躊躇せずに弁護士に連絡を取ることをお勧めします。早く専門家のアドバイスを受けることで、この困難な状況を乗り越える第一歩を踏み出すことができるでしょう。
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