少年事件の基礎知識|最善の結果を得るための早期対応とは?

ある日突然、警察から「お子様が逮捕されました」という連絡を受けた場合、冷静でいられる保護者はほとんどいないでしょう。突然の出来事に頭が真っ白になり、「この先子どもはどうなるのか」「学校や将来に影響は出ないのか」と、次々と不安が押し寄せてくるのが通常です。未成年者が事件を起こした場合、日本では成人事件とは大きく異なる制度が適用されます。それが「少年法」です。少年法は、単に罪を罰するための法律ではなく、少年の更生と社会復帰を第一に考えることを目的としています。そのため、処分内容や手続は個別性が強く、対応次第で結果が大きく変わるのが特徴です。本記事では、少年事件における年齢区分、逮捕後の流れ、前科の有無、そして弁護士の役割について、2022年の少年法改正も踏まえながら、できるだけ分かりやすく解説します。

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目次

1.少年法が適用される年齢とその考え方

2022年4月に成人年齢が18歳へと引き下げられましたが、少年法は独自の年齢区分を維持しています。一般的に「少年」と聞くと未成年全体をイメージしがちですが、法律上は年齢によって細かく扱いが分かれています。また、「少年」という言葉は性別を問わず用いられます。年齢ごとの扱いは以下のとおりです。

  • 14歳未満(触法少年):14歳未満の子どもには刑事責任能力が認められていません。そのため、犯罪に該当する行為をしても、逮捕されたり刑事罰を受けたりすることはありません。警察が関与した後は、児童相談所による調査・指導が中心となり、家庭環境や生活状況を踏まえた支援が行われます。事件が極めて重大な場合には、家庭裁判所の審判を経て、少年院送致が検討されることもあります。
  • 14歳以上16歳未満:この年齢層になると刑事責任能力は認められますが、原則として刑事裁判にはかけられず、家庭裁判所での保護処分が中心となります。処分の目的は処罰ではなく、あくまで教育と立ち直りの支援です。検察官に事件が送られる「逆送」※は、原則として想定されていません。

逆送とは、少年事件として家庭裁判所で扱われていた事件が、途中で検察官に送致され、通常の刑事事件として処理されることを指します。一般的な少年事件では、警察および検察による捜査が終了すると、事件は家庭裁判所へ送られ、そこで審判が行われ、少年に対する処分内容が決定されます。家庭裁判所での手続では、少年の更生を重視した判断がなされるのが原則です。そのため、少年が犯罪行為に及んだ場合であっても、原則として、刑事裁判にかけられ刑事罰を受けることはありません。家庭裁判所が決定する少年院送致などの措置は、「保護処分」と位置付けられており、刑事処分とは性質が異なります。

もっとも、すべての少年事件が家庭裁判所で完結するわけではありません。事件の内容が極めて悪質で、刑事責任を問うのが相当と判断された場合には、家庭裁判所から検察官へ事件が送られることがあります。これがいわゆる「逆送」です。

逆送が行われると、事件は通常の刑事手続に移行し、起訴されれば重い刑事処分が科される可能性が高くなります。

  • 16歳以上18歳未満:基本的な考え方は保護処分ですが、殺人や強盗致死などの重大事件では、成人と同様に刑事裁判を受ける可能性があります。この段階になると、事件の内容や再犯の可能性が強く考慮されるため、弁護活動の重要性が一段と高まります。
  • 18歳・19歳(特定少年):2022年の法改正によって新たに設けられた区分です。成年でありながら、少年法の適用を受けるという位置づけですが、逆送の対象事件が拡大され、重大犯罪では原則として刑事裁判に移行する流れが明確になりました。特定少年が刑事裁判の対象となる罪を犯して起訴され、実際に刑事裁判を受けることになれば、原則として20歳以上と同じように扱われ、有罪の場合は20歳以上と同様の刑罰が適用されるのです。この点は、保護者の方が特に注意すべきポイントです。
  • 20歳以上:少年法は適用されず、通常の刑事手続が行われます。

2.少年が逮捕される典型的なケース

「未成年なら逮捕されないのでは」と思われる方もいますが、それは誤解です。少年であっても、一定の条件を満たせば逮捕されることは珍しくありません。代表的な例としては、殺人・強盗・性犯罪・放火といった重大事件が挙げられます。被害の大きさや社会的影響が重い事件では、年齢に関係なく身柄拘束が行われる傾向があります。また、万引きや暴行など比較的軽い非行であっても、それを繰り返している場合や、警察の指導に従わない場合には、再犯防止の観点から逮捕されることがあります。さらに、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、成人と同様に逮捕理由が成立します。成人との共犯事件や、家庭・学校での指導が難しく、保護の必要性が高いと判断された場合にも、逮捕に至るケースがあります。

3.逮捕後に進む少年事件特有の手続

14歳以上の少年が逮捕された場合、警察での取調べを経て、原則48時間以内に検察官へ送致されます。その後、事件はすべて家庭裁判所へ送られます。これは「全件送致主義」と呼ばれ、少年事件の大きな特徴です。成人事件と異なり、少年の場合は警察署での勾留ではなく、少年鑑別所に収容される「観護措置」が取られることが多くなります。鑑別所では、少年の性格、生活歴、家庭環境、非行に至った背景などが専門的に調査され、家庭裁判所の判断材料となります。家庭裁判所では少年審判が開かれ、不処分、保護処分、逆送のいずれかが決定されます。すぐに判断できない場合には、数か月間生活態度を観察する「試験観察」が行われることもあります。

4.少年事件で「前科」がつくかどうか

多くの保護者が最も心配されるのが、「前科がつくのか」という点でしょう。法律上の「前科」とは、刑事裁判で有罪判決が確定し、刑罰を受けた経歴を指します。少年事件では、刑罰ではなく保護処分が選択されることが多いため、前科がつかないケースが大半です。保護観察、児童自立支援施設送致、少年院送致といった処分はいずれも教育的措置であり、履歴書への記載義務は通常ありません。ただし、逆送され刑事裁判を受け、有罪判決が確定すれば前科が残ります。特定少年では、そのリスクが以前より高まっている点に注意が必要です。

5.最善の結果を得るための早期対応とは?

少年事件については、初動対応がすべてと言っても過言ではありません。以下に、少年事件において最善の結果を得るための具体的な対策を挙げます。

事件の深刻化を防ぐための早期対応(反省と謝罪の重要性)

被害者が存在する事件では、できる限り早い段階で反省の意思を示し、誠実な謝罪を行うことが極めて重要です。可能であれば、被害弁償を含めた示談の成立を目指すことで、家庭裁判所における判断や処分内容が軽減される可能性が高まります。ただし、少年事件の示談は通常の刑事事件とは異なる配慮が必要です。形式や手続が適切でない示談書は、検察官や家庭裁判所に十分評価されないことがあります。また、当事者同士で直接やり取りを行うと、感情的な対立が激化し、思わぬトラブルに発展するおそれもあります。被害者が「圧力を受けた」「脅された」と感じてしまえば、かえって不利な事情として扱われ、処分が重くなる可能性も否定できません。そのため、示談交渉は少年事件に精通した弁護士に任せることが望ましいといえるでしょう。

保護者による誠実な関与と監督体制の確立

家庭裁判所は、少年本人だけでなく、保護者の姿勢や家庭環境も重視して判断を行います。日常生活が安定しており、保護者が十分な監督・指導を行えると認められた場合には、「保護処分を科さない(不処分)」という判断がなされることもあります。家庭内での更生が期待できると評価されることは、処分の軽減につながる重要な要素です。そのため、保護者が事件を真摯に受け止め、再発防止に向けた具体的な取り組みを示すことが強く求められます。

早期に弁護士へ相談し逆送を回避する

少年事件に詳しい弁護士へ早めに相談することで、被害者対応や示談交渉にとどまらず、取調べ時の受け答え、家庭裁判所に提出する資料の準備など、幅広いサポートを受けることが可能になります。適切な弁護活動が行われれば、不要な逆送を防ぎ、過度に重い処分を回避できる可能性が高まります。初期対応の質が、その後の結果を大きく左右する点は、少年事件において特に重要です。たとえ重大な事件であっても、少年本人の深い反省、保護者の積極的な協力体制、そして弁護士による適切な支援が整っていれば、家庭裁判所が逆送を行わず、少年事件として処理する判断を下すことがあります。逆送が回避されれば、刑事裁判には移行せず、前科が付くこともありません。そのため、早い段階から総合的な対応を行うことが、将来への影響を最小限に抑えるうえで極めて重要となります。

試験観察・保護観察期間中の真剣な更生姿勢

家庭裁判所が更生の可能性を判断するために実施する「試験観察」や「保護観察」は、少年の反省の度合いや生活態度の変化を見極める重要な期間です。この期間中に、指導を真摯に受け止め、生活態度を改善しようとする姿勢を示すことができれば、より軽い処分が選択される可能性が高まります。形式的な反省ではなく、行動の変化が伴っているかどうかが重視されます。

6.未成年(少年)の犯罪で学校(高校・大学)を退学処分とならないための対応策

未成年(少年)が事件に関与してしまった場合、刑事手続だけでなく、在学中の学校から退学処分を受けるのではないかという不安を抱く方も少なくありません。退学を回避するためには、主に次のような対策が考えられます。

反省文・誓約書の提出

本人が自身の行為を深く反省し、今後同様の行為を繰り返さないという決意を文章としてまとめ、学校に提出することが有効です。あわせて、保護者からも「家庭内での指導や見守りを徹底する」「再発防止に努める」といった内容の誓約書を提出することで、学校側に対して真剣な姿勢を示すことができ、判断に好影響を与える場合があります。

家庭環境・生活状況の改善を具体的に示す

日常生活の態度が改善されていることや、外部機関による支援を受けている事実を示すことも重要です。たとえば、カウンセリングの利用や少年サポートセンターなどの支援機関と連携していることを説明できれば、学校側に「更生に向けて前向きに取り組んでいる」と評価され、処分が軽減される可能性があります。

学校の指導方針を確認し、誠実に対応する

学校ごとに定められた対応方針は異なり、「一定期間の停学措置を経たうえで反省状況を確認し、復学を認める」といった段階的な指導を行う場合もあります。感情的に反論したり、一方的な主張をするのではなく、学校の判断や指導に対して謙虚に向き合い、協力的な態度を示すことが大切です。

マスコミ・SNS対応に関する情報共有

事件が報道されたり、SNSなどで情報が拡散した場合、学校側は社会的影響を考慮し、処分を慎重かつ厳格に判断することがあります。そのため、早い段階で学校と状況を共有し、外部への対応についても連携を取ることが望まれます。情報管理を含めた協力体制を築くことが、結果として不利益を抑えることにつながります。

7. 少年事件でお悩みの方は刑事事件の専門家にご相談ください

お子様が事件に関与したことを知ったとき、保護者の不安は計り知れません。しかし、対応を誤らなければ、将来への影響を最小限に抑えることは十分可能です。

少年事件は、成人の刑事事件とは手続も考え方も大きく異なり、初動対応を誤ると将来に深刻な影響を残してしまうおそれがあります。警察の取調べへの対応、家庭裁判所での審判、保護処分や逆送の判断など、専門的な知識と経験が結果を左右します。刑事弁護を専門とする弁護士であれば、少年の将来を第一に考え、早期から適切な法的サポートを行うことが可能です。被害者がいる事件では、感情的な対立を避けながら誠実な示談交渉を進め、処分の軽減や不処分を目指します。また、保護者との連携を重視し、家庭環境や更生可能性を家庭裁判所に的確に伝えることで、少年にとって最善の解決を目指します。少年事件は「早さ」と「専門性」が何より重要です。不安を抱え込まず、まずは刑事弁護専門の弁護士にご相談ください。少年とご家族の未来を守るため、全力でサポートいたします。

弁護士法人JIN国際刑事法律事務所は、日本でも数少ない刑事事件を専門とする法律事務所です。どのような案件でもまずはお気軽にご相談ください。

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監修
代表弁護士 上野仁平

慶應義塾大学商学部・法務研究科を経て、東京都立大学法科大学院を首席で修了。2016年に刑事弁護の権位である高野隆法律事務所へ入所し、2020年にパートナー就任。2023年に、刑事事件を専門とするJIN国際刑事法律事務所を設立。

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