警察から“任意で話を聞きたい”と言われたら応じるべき?|事情聴取を求められた時の対策法

ある日突然、警察から電話がかかってきて「少しお話を聞きたいのですが」「任意で署まで来てもらえますか」と言われてしまったら―。逮捕ではないと言われると、「大したことではないのではないか」「断ったら不利になるのでは」と考えてしまう方が少なくありません。しかし、“任意”という言葉の印象とは裏腹に、この段階は刑事手続の中でも極めて重要な局面です。対応を誤ると、その後の逮捕・勾留・起訴に大きく影響することがあります。本記事では、任意同行・任意の事情聴取の意味とリスク、そして適切な対策を、実務の視点から解説します。
ご相談をお急ぎの方は、03-6772-3587までお電話をお願いいたします。お電話での初回のご相談は無料となっております。 お問い合わせフォームはこちらお問い合わせ|刑事弁護のプロフェッショナルJIN国際刑事法律事務所 |
任意同行・任意の事情聴取とは何か?
任意同行とは、警察が強制力を使わず、本人の同意のもとで警察署などに来てもらい事情を聴く手続をいいます。逮捕とは異なり、逮捕状もなく、法律上は自由に帰ることができる建前です。
つまり形式上は、
・断ることもできる
・途中で帰ることもできる
・黙秘することもできる
というのが原則です。
しかし実務上は、
・長時間にわたる取調べ
・繰り返しの呼び出し
・供述調書への署名の要求
などが行われることもあり、心理的な圧力は小さくありません。「任意だから軽い」という理解は非常に危険です。むしろ、捜査がある程度進んだ段階で呼び出されることが多く、すでに被害届や証拠がそろっているケースも少なくありません。
任意の呼び出しは断れるのか?
任意の呼び出しは、法律上は断ることが可能です。ただし、無視を続けたり不誠実な対応をしたりすると、
・逃亡のおそれ
・証拠隠滅のおそれ
があると判断され、逮捕状を請求される可能性もあります。したがって、「無視すればよい」という単純な話ではありません。重要なのは、どう対応するかを戦略的に判断することです。
任意で応じるリスクとは?
任意同行や事情聴取に応じた場合に、どんなリスクがあるのでしょうか。具体的には以下の3点が挙げられます。
- 何を疑われているのか分からない:警察はすべての情報を開示してくれるわけではありません。「ちょっと確認だけ」と言われても、実際にはすでに被害者の供述が固まっている場合もあります。軽い気持ちで話した内容が、供述の矛盾として扱われることもあります。
- 何気ない一言が“自白”に近い扱いになる:取調べでは、言葉のニュアンスや前後関係が重要になります。例えば、「そんなつもりはなかった」という発言が、「行為自体は認めている」という趣旨で整理される可能性もあります。一度供述調書に署名すると、後から「違う意味だった」と主張することは極めて困難です。
- その場で逮捕に切り替わる可能性:任意同行で警察署に行き、そのまま逮捕されるケースも実務上存在します。「任意だから安心」という保証はどこにもないのです。
具体的にはどのような場合に逮捕されてしまうのでしょうか。逮捕が認められるためには、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由、すなわち一定の証拠が存在し、さらに逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断される必要があります。任意の事情聴取の中で、供述内容によって容疑が強まったり、説明が二転三転して信用性に疑問が生じたり、証拠を処分する可能性をうかがわせる事情が見えたりした場合、警察は逮捕の必要性があると判断することがあります。また、任意同行の最中にスマートフォンの解析や関係者の供述などから決定的な証拠が固まるケースもあります。特に、不同意性交等罪や不同意わいせつ、盗撮、暴行や傷害、窃盗、薬物事件などでは、任意で呼び出された後に逮捕へと移行する事例がみられます。これらの事件では証拠の保全や被害者保護の観点も重視されるため、警察が逮捕の必要性を判断しやすい傾向があります。「任意だから大丈夫だろう」「正直に話せばすぐ終わるはずだ」と考えてしまうことは自然ですが、その判断が結果的に不利に働くこともあります。供述は重要な証拠となり、一度作成された供述調書の内容を後から覆すことは容易ではありません。任意の段階での発言や態度が、そのまま逮捕の要否判断に影響することもあるのです。
刑事事件を起こしてしまったときの正しい対策
それでは、警察から任意で話を聞きたいと言われた場合、どうするべきなのでしょうか。
まず弁護士に相談する
最も重要なのは、取調べ前に弁護士に相談することです。
事件内容によって、
・黙秘を選択すべき場合
・一定の事実を認めた方がよい場合
・示談を優先すべき場合
は大きく異なります。方針を決めないまま事情聴取に応じることは、極めてリスクが高いといえます。
早期の示談を検討する
不同意性交等、不同意わいせつ、暴行、傷害、窃盗などの被害者のいる事案では、早期の示談が不起訴処分につながる可能性があります。示談はタイミングが重要です。任意の段階で動くか、逮捕後に動くかで結果が変わることもあります。
証拠の扱いに注意する
スマートフォンのデータ、SNSのやり取り、位置情報などは重要な証拠になります。不安から削除したくなる気持ちは理解できますが、証拠隠滅と評価されるおそれもあります。必ず弁護士と相談した上で対応すべきです。
任意の段階が“最重要局面”である理由
刑事事件において、初動対応はその後の流れを決定づける極めて重要な分岐点です。多くの方は「逮捕されてからが本番」と考えがちですが、実際にはその前段階、すなわち任意での呼び出しの時点で、方向性は大きく左右され始めています。
まず、任意の段階での対応次第で、そもそも逮捕されるかどうかが変わります。警察が逮捕を検討する際には、罪を犯したと疑うに足りる証拠の有無だけでなく、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかが重視されます。任意の事情聴取における受け答えや態度、供述内容が、「逃亡の可能性が低い」「証拠隠滅の心配がない」と評価されれば、逮捕を回避できる可能性があります。逆に、説明が不十分であったり、不用意な発言があったりすると、逮捕の必要性を補強してしまうこともあります。
さらに、仮に逮捕された場合でも、その後に勾留されるかどうかは重要な分岐点です。勾留が決まれば、原則として最大20日間身体拘束が続き、仕事や学校への影響は避けられません。任意段階で事実関係を整理し、示談交渉を進めるなどの対応ができていれば、「勾留の必要はない」と判断される可能性も高まります。初動での対応が、その後の身体拘束の長さを左右するのです。
また、不起訴になるかどうかも、任意段階の動きによって大きく変わります。被害者がいる事件では、早期の謝罪や示談が成立することで、不起訴処分となる可能性が高まる場合があります。しかし、任意の段階で不用意な供述をしてしまい、悪質性が強いと評価されれば、起訴の方向に傾くこともあります。最初の一歩をどう踏み出すかで、最終的な処分は大きく異なります。
そして最終的に、前科がつくかどうかも、この初動にかかっています。不起訴であれば前科はつきませんが、起訴され有罪判決を受ければ前科が残ります。前科は将来の就職、資格取得、海外渡航などに影響を及ぼす可能性があり、人生に長く影を落とすこともあります。任意の段階で適切な防御方針を立てられるかどうかが、その分岐点となるのです。
任意の呼び出しは、「まだ逮捕されていない」「まだ勾留されていない」という意味で、軌道修正が可能な段階です。早期に弁護士へ相談し、供述方針や示談の可能性を検討することで、より良い結果を目指す余地が残されています。
しかし同時に、この段階で誤った対応をしてしまうと、後から取り返すことは容易ではありません。一度作成された供述調書は強力な証拠となり、逮捕や勾留、起訴を後押しする材料にもなり得ます。「任意だから大丈夫」という油断が、結果的に不利益を拡大させることもあるのです。
だからこそ、任意の段階は“まだ間に合う”最後のタイミングであると同時に、“ここで誤れば取り返しがつかない”重要局面でもあります。刑事事件では、最初の一手がその後のすべてを左右する――この現実を正しく理解することが、何よりも大切なのです。
まとめ|任意だからこそ慎重に
警察から「任意で話を聞きたい」と言われたとき、それは刑事手続が本格的に動き始めたサインです。慌てて応じる前に、
・弁護士に相談する
・方針を決める
・示談の可能性を検討する
という冷静な対応が必要です。
刑事事件は“スピード”が結果を左右します。不安を感じた段階で、刑事弁護に精通した専門家へ相談することが、ご自身の人生を守る最善の選択といえるでしょう。
弁護士法人JIN国際刑事法律事務所は、日本でも数少ない刑事事件を専門とする法律事務所です。どのような案件でもまずはお気軽にご相談ください。
ご相談をお急ぎの方は、03-6772-3587までお電話をお願いいたします。お電話での初回のご相談は無料となっております。 お問い合わせフォームはこちらお問い合わせ|刑事弁護のプロフェッショナルJIN国際刑事法律事務所 |
慶應義塾大学商学部・法務研究科を経て、東京都立大学法科大学院を首席で修了。2016年に刑事弁護の権位である高野隆法律事務所へ入所し、2020年にパートナー就任。2023年に、刑事事件を専門とするJIN国際刑事法律事務所を設立。
お問い合わせ
Contact
まずはお気軽にご相談ください。
-
メールフォームからお問い合わせ
-
お電話からお問い合わせ
03-6772-3587平日9:00~18:00