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家庭内のトラブルで逮捕されることはある?親子喧嘩と刑事事件の境界線を弁護士が解説

家庭内のトラブルで逮捕されることはある?親子喧嘩と刑事事件の境界線を弁護士が解説

「親子で口論になっただけなのに警察を呼ばれた」、「家の中の出来事なのに、逮捕されることはあるのか」、家庭内のトラブルについて、そのような相談を受けることがあります。

以前は、“家庭内の問題”として扱われることも少なくありませんでした。しかし現在は、家庭内暴力や児童虐待への社会的関心が高まり、警察や児童相談所の対応も大きく変化しています。特に近年は、子ども自身が学校や児童相談所へ相談したことをきっかけに、刑事事件へ発展するケースも珍しくありません。もっとも、親子間の口論すべてが犯罪になるわけではなく、「単なる感情的な衝突」にとどまるケースと、「暴力事件」と評価されるケースとでは、法的な扱いに大きな違いがあります。今回は、刑事事件を扱う弁護士の立場から、家庭内トラブルが逮捕につながるケースや、児童相談所が介入した場合の流れについて解説します。

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目次

家庭内であっても暴力があれば刑事事件になる可能性がある

「親が子どもを叱っただけ」、「家族同士の揉め事だから犯罪にはならない」このように考える方は少なくありません。しかし、刑法上は、相手が家族かどうかによって暴力行為の違法性が消えるわけではありません。たとえば、感情的になって子どもを突き飛ばしたり、平手で叩いたり、物を投げつけたりした場合、その態様によっては暴行罪や傷害罪として扱われる可能性があります。特に、アザや腫れ、擦り傷など、医学的に「負傷」と評価される状態が生じれば、比較的軽微なケガであっても傷害罪として捜査されるケースがあります。実際の刑事実務では、「家庭内だから穏便に済む」という発想は年々通用しにくくなっています。背景には、DVや児童虐待が重大事件へ発展した事例が社会問題化していることがあります。そのため、警察は“家族間トラブル”という言葉だけで軽く扱うことは少なくなっています。

「親子喧嘩」で終わる場合との違いは?

もっとも、親子間の口論や感情的な言い合いが、すべて犯罪になるわけではありません。実際には、警察や児童相談所は、暴力の有無・ケガの程度・日常的な虐待の存在・子どもの恐怖感・再発可能性などを総合的に見ています。

たとえば、一時的な言い争いにすぎず、身体的暴力がなく、継続的な支配や威圧も見られない場合には、「家族間のトラブル」として注意のみで終了するケースもあります。

一方で、親側が「軽く叩いただけ」と認識していても、子どもが強い恐怖を感じていたり、第三者から見て危険性が高いと判断された場合には、虐待や暴力事件として扱われる可能性があります。つまり、当事者の感覚だけで「ただの親子喧嘩」と決まるわけではありません。

子どもが児童相談所へ相談するケースは増えている

最近特に増えているのが、子ども自身による相談です。学校の先生、スクールカウンセラー、友人の保護者などに対して、「家で叩かれる」、「怒鳴られるのが怖い」、「家に帰りたくない」といった相談が行われ、そこから児童相談所へ連絡が入るケースがあります。

現在では、「189(いちはやく)」という虐待通告ダイヤルの認知も広がっており、未成年本人が直接相談することも珍しくありません。親としては、“家庭内の出来事”と思っていても、子ども側が外部へ助けを求めることで、突然、行政や警察が介入する事態になることがあります。

児童相談所が介入するとどうなる?

児童相談所は、「虐待の疑い」がある時点で動きます。実際に虐待が認定されているかどうかよりも、“安全確保の必要性”が重視されるため、比較的早い段階で家庭への接触が行われる傾向があります。具体的には、学校への聞き取り、自宅訪問、保護者との面談、子ども本人への事情確認などが行われます。そして、子どもの安全に不安があると判断された場合には、警察と情報共有されるケースもあります。特に、「首を掴んだ」「物を投げた」「繰り返し叩いている」といった事情は、重大性が高いと評価されやすく、警察介入につながりやすい傾向があります。

一時保護に発展するケースもある

児童相談所が危険性を強く認識した場合には、「一時保護」という措置が取られることがあります。これは、子どもを一定期間家庭から離し、児童相談所の施設などで保護する制度です。保護者にとっては突然の出来事に感じられることも多く、「そこまで大事になるとは思わなかった」という相談は少なくありません。もっとも、児童虐待案件では、“万一”を避けるため、行政側は慎重な対応を取る傾向があります。また、一時保護の過程で警察への情報提供がなされ、その後、刑事事件として捜査が開始されるケースもあります。

親が逮捕されるケースとは?

家庭内トラブルであっても、状況によっては逮捕されることがあります。たとえば、子どもに明確なケガがある、暴力が継続している、子どもの供述が具体的、医師の診断書が存在する、再度暴力が起きる危険が高いといった場合には、警察が逮捕の必要性を判断する可能性があります。特に、首を絞める行為は、重大事件へ発展する危険性が高いとして、実務上かなり重く見られる傾向があります。また、「しつけだった」という説明だけで違法性が否定されるわけではありません。教育目的であっても、身体的・精神的な制裁が過度であれば、刑事責任が問題となる可能性があります。

被害届がなくても捜査されることがある

家庭内事件では、「家族だから処罰を望まない」というケースも少なくありません。しかし、児童虐待が疑われる場面では、被害者側の意思だけで捜査が終了するとは限りません。特に未成年者の場合、「親に遠慮して本音を言えない可能性」が考慮されるため、警察や児童相談所が独自に危険性を判断して対応を進めることがあります。そのため、「家庭内で解決したつもりだったのに、後から事件化した」というケースも実際には存在します。

逮捕後の流れと生活への影響

逮捕されると、警察署での取調べを経て、検察庁へ送致されます。その後、勾留が認められれば、最大20日前後、身体拘束が続く可能性があります。家庭内事件では、「被害者へ影響を与えるおそれ」が理由となり、接触制限が課されるケースもあります。また、仕事や学校への影響だけでなく、児童相談所案件では子どもとの面会が制限されることもあり、家族関係そのものに大きな影響を及ぼすことがあります。

家庭内トラブルは傷害罪になり得ます。お困りの場合は弁護士へご相談を

家庭内のトラブルは、「家庭の中のこと」で済まされるものではなくなっています。特に、子どもに対する暴力や強い威圧行為は、親側にその意図がなかったとしても、児童虐待や刑事事件として扱われる可能性があります。近年は、学校や児童相談所、警察が早い段階から介入するケースも増えており、子ども本人が外部へ相談することも珍しくありません。もっとも、家庭内の問題は感情的対立が強く、当事者だけでは冷静な解決が難しい場合があります。状況が深刻化する前に、第三者や専門家へ相談し、家庭環境の改善や再発防止に向けた対応を検討することが重要です。警察や児童相談所が関与している場合には、法的な対応だけでなく、今後の家族関係も見据えながら、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

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監修
代表弁護士 上野仁平

慶應義塾大学商学部・法務研究科を経て、東京都立大学法科大学院を首席で修了。2016年に刑事弁護の権位である高野隆法律事務所へ入所し、2020年にパートナー就任。2023年に、刑事事件を専門とするJIN国際刑事法律事務所を設立。

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