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【コラム】背任罪とは?もし容疑をかけられたら

背任罪について

【背任罪】は、刑法第247条に定められている犯罪です。

全国の警察で認知した背任事件の数は少数ですが、実は意外と身近なところでも起きる犯罪です。特に会社と従業員という関係において発生するケースが多いことが特徴です。

 背任罪は、①他人のためにその事務を処理する者が、②自己もしくは第三者の利益を図ったり、または本人に損害を加えたりする目的で、③その任務に背く行為をして、④本人に財産上の損害を加えたときに成立します。

 

まず「他人のためにその事務を処理する者」とは、本人からの委託によって事務処理をする者を指します。ここでいう本人は、会社や組織であることが大半です。たとえば、会社から指示を受けて業務にあたる社員・従業員などが他人のための事務処理者の典型です。

そして、「自己もしくは第三者の利益を図ったり、または本人に損害を加えたりする目的」について、事務処理は本来、本人の利益を目的として委託されるものなので、自分や第三者の利益を図ったり、本人に損害を加えたりする目的があった場合は本罪の処罰対象です。これを、「自己図利目的」や「図利加害目的」といいます。

また「その任務に背く行為」は、本人から与えられた任務に背く行為です。不正融資や不良貸付のほか、虚偽の審査・鑑定結果を出すなどの行為も任務違背行為にあたります。

さらに「本人に財産上の損害を加えた」とは、図利加害目的をもった任務違背行為によって、本人に財産上の損害が生じれば本罪が成立します。(なお、実際には損害が発生しなかったとしても、図利加害目的・任務違背行為があった場合は背任未遂として処罰されます。)

  

もし、背任罪の容疑で逮捕されてしまったら

背任罪の容疑で逮捕されると、その瞬間から身柄拘束されます。

逮捕から48時間以内に検察官に送致手続きをし、更に24時間以内に逮捕に引き続き勾留すべきかどうかを検察官が判断します。勾留決定後は、初回で10日間、延長請求があれば更に最大10日間、合計で20日間(最大)の身柄拘束が続いてしまいます。勾留満期となる日までに検察官が起訴・不起訴を決定します。 

背任罪の場合には、事実関係や犯行に至った背景・手口・動機の捜査が難しいことから、いったん逮捕されてしまうと、その後も勾留されて身柄拘束を続けたまま捜査継続される可能性が高いです。

 起訴された場合は刑事裁判になり、証拠をもとに裁判所が審理し、有罪となれば刑罰(法定刑は5年以下の懲役または50万円以下の罰金)が科せられてしまいます。一方で、検察官が不起訴とした場合は刑事裁判にはならず、直ちに釈放されます(前科も付きません)。 

背任罪における量刑判断の基準で大きな影響を与えるのは、「損害の大小」と「弁済の有無」です。当然、大きな損害を与えたケースでは量刑が重い方向へと傾きやすくなりますが、損害が多額であっても会社に対して損害額を支払うなどの弁済があった、あるいは弁済を約束して会社が許した場合は、被害者の実質的な損失が補塡されるため量刑が軽くなる可能性が高いでしょう。

背任罪(認め事件)で不起訴処分または刑罰をできるだけ軽くしたいと望む場合は、被害者に対して誠実に謝罪し、早急に弁済に向けた示談交渉を進めることがとても大切です。 

背任事件は、被害者が会社などの組織であることがほとんどなので、加害者であると疑われているご本人が会社と直接交渉をして、ご自身に有利に交渉を進めていくのは大きな困難が伴います。会社には顧問弁護士がいることが多いでしょうし、自分にも負い目があることから、不当に高額な被害金額を支払うよう求められてしまうこともあるでしょう。

できるだけ早い段階で、刑事事件そして背任事件に知見のある弁護士に依頼をし、サポートを受けることをお薦めします。

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